みなさんこんにちは。日々竹・笹に関する情報発信を行っているBamboo Salonです。今回は「竹の年齢」の見分け方についてご説明します。
【そもそも竹の年齢とは】
日本の大型竹類は、60年生きるとも、120年生きるとも言われています(詳細はこちらの記事)。しかし、何も我々がよくみる地上部の竹稈(=木でいうところの幹の部分)が何十年も生き続けるわけではありません。竹稈はおおよそ10年前後で朽ちていきます。
そして、我々人間にとって重要なのは、その竹全体が何年生きているかというよりも、その竹稈が何年目のものか、つまり稈齢はいくつか、ということが重要なのです。なぜなら、例えば竹林を整備するときに、老齢竹(=年齢を多く重ねた竹稈)ばかりを残してしまうと、その稈は光合成をする能力が弱かったり、また筍を生やす能力に乏しかったりして、結果として竹林全体の生命力が弱まってしまうのです。そのため、若い竹を見分ける能力は、竹林を管理・運営する上においては欠かせません。
もっと言えば、筍農家などはかなりシビアに、「この稈は何年生まれで、こちらは何年生まれ」ということまで把握している場合もあります。なぜなら、数年の違いでも筍を採ることを生業としている場合には、その生産量に大きく影響することもあるからです。また、研究者なども厳密に竹稈の年齢を知る必要がある場合があります。この理由は明白で、何を研究しているにせよ、研究というものは再現性が求められるため、その条件をつぶさに記録する必要があるからです。
さて、しかし上記のようなシビアな例を除けば、「若いか、あるいは年老いているか」を判別できれば十分な場合がほとんどです。なので、今回は竹にあまり詳しくない人が簡単に竹の年齢を見分けるコツを紹介していきます。
【見分ける具体的なテクニック】
まず一番簡単なのは、「竹の皮」を見る方法です。これは日本の三大有用竹であるモウソウチク・マダケ・ハチクいずれにも共通するので、実用性が高い方法と言えるでしょう。見分け方は簡単で、竹稈の根元に皮が付いていれば、それが比較的若い竹稈と言えます。タケはどの種類でも、一年目(一年生、当年生)の竹稈は皮が根元付近に比較的多くついており、年を経るごとに脱落していきます。二年生のものでも皮がついていることが多いですが、それ以降のものでは竹の皮がついていることは滅多にありません。この、まず皮で見分けるという手法は有効です。
また、竹稈の色でも識別は可能です。いずれの種類の竹でも、若い稈は比較的青々しく、年を経るにつれて緑が薄くなり、老齢地区になると黄みがかってきて、最終的には割れ目が入り、茶色くくすみます。放置竹林などでは、葉も付いておらずカサカサに乾燥した竹がなかなか朽ちることなく残っており、景観的を損ねています。
他に利用できるテクニックで言えば、特にモウソウチクでは、若い稈の節の部分には白い蝋状の物質が付着しており、これが真っ白なら1~2年生の竹稈、一部はがれてきたり色がくすんできたらそれ以降の竹稈、真っ黒になっていたら更に老齢な竹、ということでこれも見分けることはたやすいです。日本の竹林面積の半数以上はモウソウチクが占有しているため、これだけを覚えていてもある程度は有効です。
【その他のテクニック】
他にも「枝の落ち跡」や「竹の音色」で識別する方法はあるのですが、難易度が高いのでここでは割愛します。また、毎年人の手が入る調査地などでは、年ごとに竹稈にビニールテープをまき、「赤色は2018年、青色は2019年、黄色は2020年……」というように、人為的に識別できるようにしているところも多いです。
【まとめ】
なので、大型竹類の年齢を見分けるには、まず「ざっくりとしか分からない」ことを前提に、稈の皮や色などの複数の方法を組み合わせて見分ける方法が妥当でしょう。もし一年単位でこだわるなら、別の方法を採用する必要があります。