生態

竹1メートル切りは竹林駆逐には、場合によっては楽or有効か?

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竹1メートル切りとは、端的に言えば「地上部1メートル程度で竹を切ることで、竹林を駆逐する」手法です。竹林駆除に有効という向きもあるので、詳細に解説します。ただし、レポート・報告書によっては見解が分かれるので注意が必要です。地際切と大差がない、という向きもあります。なのであくまで紹介程度ととらえてください。

【概要】

竹1メートル切りは、書籍「竹 徹底活用術: 荒れた竹林を宝に変える! 」や「現代農業」で紹介されて以降、各地で広まりました。「フォレストぐんま21」理事長の菊川照英さんが考案されたそうです。

手法としては上記に示したことで要約されるのですが、簡単に解説します。
・駆除する必要がある竹林がある
・12月~1月頃の冬期に、「地上部1メートル」で全ての竹を切る
・その切り口から、養分を含んだ水が出る
・翌年、また新しい筍から竹が出るので成長するまで待つ
・同様に、地上部1メートルで切断する
・伐ってから1年ほどたった切り株は、根が弱くなり手でもげるようになる
・上記を繰り返すことで竹は養分を使い果たし、竹林全体が枯れる

【利点】
この手法は利点があり、竹林の完全根絶を目指す場合には有効とされています。

・地上部1メートルという、比較的切りやすい位置で作業ができる
・地際で切ることに比べ、竹林へ怪我無く入りやすくなる
(地際で切る場合は、切り株などに引っかかりやすく危険。枯れてから切り口がささくれ状になり、靴に穴があくなどの被害が出る)
・通常ユンボを利用して地下茎を掘り出さなければ竹の根絶は難しいところ、切断という簡単な作業で竹を駆逐できる
・駆除用の薬剤(ラウンドアップなど)が不要
・地際で切るよりも駆除が速い

【他の手法】

・皆伐:竹を全て地際で切断することを、複数年続けて行う
・薬剤:竹稈に薬剤を注入して、化学的に枯らす
・重機:根本から重機で掘り返す。費用と工数負担はあるが、その土地で農業などを利用するなら地下茎の根絶は必須なので、その場合においてはかなり有効

【有効・楽と考えられる理由と注意点】

そして、この1メートル切りは「皆伐」と同じような手法です。地際で切るか、皆伐するかの違いです。地上部を無くしてしまって光合成をさせないようにし、栄養分を作れなくするという根本的な考え方は共通しています。それに加えて、(事実かどうかの検証は必要ですが)地下茎から養分を奪うというプラスアルファがあり、しかも作業がし易い。良い方法と言えるでしょう。

他方、慣れた作業者にとっては根本から切る場合と手間・苦労は変わらないという報告もあります。また、中途半端(1m)に切られた竹は、搬出にも邪魔になりますので、「切るだけ」なら少し楽かもね、という話になります。

この方法は、竹林を完全に駆逐したい場合に限ります。なので、一部の竹林を残したいという場合や、間伐したいという場合には完全に不向きです。というのも、皆伐よりも竹に与えるダメージが大きいためです。地下部は、恐らく1メートルも地上に残っていた場合、そこに栄養を送り続けます。地際から切断した場合には、そこに栄養分を送るということは(検証・研究は必要ですが)あまりないでしょう。しかし、1メートル残した場合は、そうではないのです。

そうすると、他の生きている竹に送られるはずであった栄養が失われてしまいます。また、竹稈が残るとその近辺にはタケノコが生えない可能性があります。そうすると、親竹がいびつな密度に生えることも想定されます。なので、この方法は「全滅させたい場合に限る」のです。

また強調したいのは、素人考えでは一年で全ての竹を駆逐できる、と考えがちですが、皆伐と同じく根気の長い作業が必要です。少なくとも5年程度は毎年竹の切断が必要であると考えるべきでしょう。また、伐った竹稈はなかなか土壌化しません。燃焼させるかチップにする、土に埋める、あるいは別の活用法を探すなどして除去しなければ、後の土地利用の障害にもなります。

更に、この手法では地下茎はしばらく残り続けます。その後の土地利用によっては、改めてバックホーなどでの掘り出しが必要でしょう。

【参考文献】
・竹を枯らす方法,(竹やぶを廃止して開墾する方法)(リンク
・「莇生」の研究!(リンク
・現代農業(2019年4月号)
・竹 徹底活用術: 荒れた竹林を宝に変える!
・佐賀県のレポート『効率的な竹林拡大抑制手法の開発(県単:H26~H30) 』(url: https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00367239/3_67239_129678_up_5luuobk1.pdf
・群馬県の調査『マダケの1m伐り及び刈払い適期の検証』(https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/55841.pdf)

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