産業

クラゲチップで竹林を整備する:クラゲとタケの合わせ技

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クラゲチップ

みなさんこんにちは。日々竹・笹に関する情報発信を行っているBamboo Salonです。今回は「クラゲチップ」の活用方法についてご説明します。

【クラゲチップとは】

 (楽天より)

愛媛大学などが開発した、クラゲを細断し乾燥させたチップです。元々愛媛県は県として放置竹林が目立つなど、竹林改良への課題意識があり、その一環としてクラゲチップを活用して土壌改良をしようという試みです。

実際に、技術報告上ではクラゲチップによる竹林土壌改良に成功している実績があります。

【実績1:タケチップとの混合】

2014年に日緑工誌から「タケチップとクラゲチップを活用する土壌改良材の開発」という題で、技術報告が出ています。これは、タケチップとクラゲチップと森林土壌、廃ほだ(シイタケ等栽培の廃棄物)などを混合させて、その配合割合によって森林土壌に有効な細菌や糸状菌の生育度合いを見るという研究です。ここれは、タケチップとクラゲチップをそれぞれ約16%ずつ配合させたものが、最も菌などが生育したことが報告されています。

(いずれも同技術報告より)

【タケチップとクラゲチップを活用した草本植物の生育】

同2014年、今度は「草本植物に対するタケチップとクラゲチップを活用する土壌改良材の効果」という題で、上記のような混合物を用いてミズナを栽培したところ、その(収穫時の)乾燥重量や発芽重量が、無施用区と較べて有意に優れている、という結果を得ています。具体的には、タケチップとクラゲチップを利用した土壌改良材を土壌に重量比25%混合すると、発芽率が30%、地上部の乾燥重量が65%、地下部の乾燥重量が55%と向上したとのことです。その理由の考察として、土壌水分量の上昇を筆者は挙げています。

【くらげチップを活用した放置竹林の整備】

そして2018年には、「くらげチップを活用した放置竹林の整備」という題で、くらげチップを活用しての放置竹林の整備に乗り出します。この実験は、今度はタケチップは混合せずに、放置竹林を皆伐(可能な限り根茎も除去)し、その後クラゲチップを施肥し、材としても景観向上としても有用なヤマザクラを植え、その成長の結果を対象区と比較するというものです。果たして、胸高直径と樹高について有意な差を得られたと報告されています。 

【現在】

(楽天より)

現在は、土壌改良剤としてチップの形でくらげチップを販売しています。一般の方でも容易に入手でき、かつ活用も「混ぜるだけ」と簡単なので利用を推奨しているようです。

【まとめ】

実験を経るにつれタケチップの利用がなくなってしまったのはBamboo Salonとしては残念ですが、放置竹林整備にも役立つという結果が見られたのは有用かと思います。放置竹林整備というのは、ひとときの整備ではなく長期的な作業が必要となり、その作業軽減(=新たな樹種の成長がはやいということは、新たに出てくる竹の被圧などが進みやすいということ)にも役立つのであれば、竹林整備の観点でも利用の価値は高いと思われます。

【参考文献】

・タケチップとクラゲチップを活用する土壌改良材の開発
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/40/1/40_215/_pdf
・草本植物に対するタケチップとクラゲチップを活用する土壌改良材の効果(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/40/1/40_219/_pdf/-char/ja
・くらげチップを活用した放置竹林の整備
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/44/1/44_166/_pdf/-char/ja
・楽天
https://item.rakuten.co.jp/umisachi/085209/
・マルトモ
http://www.marutomo.co.jp/csr/kenkyu.php

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