竹はイネ科です。イネのゲノム解読というのはかなり早い段階で着手され、国内外で盛んに研究がされており、国際プロジェクトなども行われ2004年には非常に精度の高いゲノム解読がなされました。日本だけでも数百億円が投じられた大プロジェクトです。これまで数千系統以上のイネの全ゲノム解析がなされています。
では竹はどうでしょうか? イネには遠く及びませんが、竹もゲノムの解析が近年行われ始めました。
2013年に中国のグループが、孟宗竹のドラフトゲノムシークエンスが報告しました(Peng et al.2013)。2018年には、モウソウチクゲノムシークエンスの第二弾の論文が発表されました(Zhao et al. 2018)。 2019年には更に、4種の竹のドラフトゲノムシークエンスが解読されました(Guo et al. 2019)。
さて、これで竹のゲノムの解析もかなりのところまできたのか?というと、詳細は専門的な為、本ページでは割愛しますが、実はまだまだ解析に粗いところがある状況です。モウソウチクのゲノムは2n=48 ですが、まだ数万単位に断片化されたゲノムのみしか得られていません。
しかし、ゲノム解析技術は急速に発展しており、これから竹のゲノムの解析も進んでいくことでしょう。ゲノムという暗号が解読されることで、竹という植物がなぜ筍から急速な成長をするのか、開花周期が非常に長いのか・・・等謎が沢山解けてくるかもしれません。楽しみですね。
2021年、中国のグループが427系統のモウソウチクの全ゲノム解析を行った論文が発表されました。中国の竹研究はやはり盛んなようです。その論文によると竹のゲノム多様性は小さいことや、ヘテロ接合度が高いことなどが述べられています(Zhao et al. 2021)。
- Peng, Z. et al. The draft genome of the fast-growing non-timber forest species moso bamboo (Phyllostachys heterocycla). Nat. Genet. 45, 456–461 (2013).
- Zhao, H. et al. Chromosome-level reference genome and alternative splicing atlas of moso bamboo (Phyllostachys edulis). Gigascience 7, 1–12 (2018).
- Guo, Z. H. et al. Genome Sequences Provide Insights into the Reticulate Origin and Unique Traits of Woody Bamboos. Mol. Plant 12, 1353–1365 (2019).
- Zhao, H. et al. Analysis of 427 genomes reveals moso bamboo population structure and genetic basis of property traits. Nat. Commun. 12, 1–12 (2021).